カキ果皮由来抽出物(PPE)の脂質代謝への効果を調査するため,PPE添加(37.4 mg/kg)高脂肪食をWistarラットに12週間投与した.9週目に高脂肪食投与(HD)群の血漿HDL-コレステロール濃度(HDL-C)が,12週目にHD群とPPE添加高脂肪食(HP)群の血漿総コレステロール濃度(TC)およびHDL-Cが,通常食投与(ND)群より低下した.PPEを増量(488mg/kg)して,別のWistar ラットに4 週間投与した.血漿TC,HDL-C,LDL-コレステロール濃度について,ND群よりHD群は低く,HP群はND群,HD群との中間で,いずれとも差が無かった.以上より,PPEは高脂肪食による血漿コレステロール変動への影響を緩和することを示した.また,PPEにはカロテノイド,ポリフェノールに加えて,cis-バクセン酸,α-リノレン酸を主とする12種の脂肪酸,ウルソール酸,α-トコフェロールが含まれることが新たに分かった.
- 所属
- *東京大学大学院農学生命科学研究科(現弘前大学食料科学研究所)
- 著者
- 井土 良一、中井 雄治*
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書,30,11-17(2014)