100年前に構築されたBallの数式法は,fとjのパラメータと加熱殺菌条件の特性で殺菌値を計算する世界標準の計算法である.2006年に提案されたATS法は,加熱期と冷却期でδとτの2種類4つのパラメータを使用して雰囲気温度から逐次的に品温および殺菌値を計算する方法である.これらの方法ではパラメータ取得時と異なる殺菌条件で殺菌値を推算可能であるが,両者を比較した報告はない.
今回,熱水シャワー方式ででんぷん液の缶詰,パウチ詰,プラスチックカップ詰を殺菌し,取得したパラメータを用いてBallの数式法とATS法で殺菌値の再現性を確認するとともに,異なる加熱殺菌条件における殺菌値を推算した.推算結果を実測値と比較し,精度を検討したので報告する.
本論文は、缶詰時報, 101(5), 323-336 (2022) (目次) を転載した。
- 著者
- 稲葉 正一
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 34, 119-132 (2022) / 缶詰時報, 101(5), 323-336 (2022) を転載