茸類の菌糸の有機酸代謝について基礎的な研究を行ない次の事を明らかにした。
1.マッシュルーム及びナメコの菌体量は20日前後で最高に達し、有機酸の蓄積に依ってpHは低下するが、培養の経過と共に菌体は白己消化しpHの上昇を見る。シイタケの菌体生育は緩慢で30日培養で最高に達せず自己消化もpHの上昇も見られない。
2.茸類菌糸の生成する有機酸組成を比較し、培養中に生成された主な有機酸は何れも酢酸、ギ酸、コハク酸、蓚酸、グリコール酸及び未知の揮発性酸であった。
3.シイタケ菌は他の二者に比して旺盛な蓚酸生成菌ある。
4.マッシュルームの蓚酸生成量は少ないがCaCO3を添加すれば、培地中に蓚酸のみを蓄積する。
5.ナメコ菌を用いて蓚酸分解能を測定すると遊離型は塩型に比較して約2倍分解を受けた。
- 著者
- 橋本 一哉、磯部 信昭、高橋 善次郎
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,215-221(1965)