カールフィッシャー法にて食品中の水分測定を行った。
高圧ポリエチレンフィルム(厚さ0.05mm)に包装した凍結乾燥食品においては、いちご、カリフラワー、グリーンアスパラガスなど蔬菜類は吸湿が早く色調の変化も著しいが、比較的乾燥後表面が固く出来上るもの、すなわちグリーピースやバナナは吸湿速度がやや遅い。色詞の変化はカリフラワー、マッシュルーム、グリーンアスパラガス、いちご、牛肉、カシワ、バナナ、山の芋(粉末)、グリーンピースの順で早く、早いものは36℃、78%RHの条件で保存2-3日後頃より色調の変化が見られたが山の芋、グリーンピースはほとんど変化がなかった。
カールフィッシャー法は微量水分を含む乾燥食品類の水分定量に、またそれらを包装した場合の中身の真の水分変化(袋のままで重量を計る方法ではフィルムの吸湿量や付着水分が影響することもある)を知る上においても応用が広いと考えられる。
ただ注意を要するのはその食品に適した水分抽出の溶媒を選ぶこと、例えばバターやマーガリンなどはクロロホルム+メタノール溶媒など。また食品の場合はほとんど影響ないと思うが試薬と反応する物質つまり滴定を妨害するものもあるのでその都度予め調べる必要がある。
- 著者
- 西郷 英昭、松井 悦造
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,275-281(1965)