4.缶詰の内面腐食に関する研究-Ⅳ
缶内における硝酸イオンの反応機構

缶内においては製造巻締時に残存する酸素は、いわゆる初期腐食に消費され、暫時放置後は嫌気的状態となるはずであり、このような各条件下における硝酸イオンの挙動と、スズ溶出との関係を明らかにする目的で以下の実験を行ない若干の知見を得たので報告する。

1)硝酸イオンによるスズの異常溶出を起したジュース缶詰は溶出スズ量に応じてアンモニアの生成が認められた。

2)硝酸イオンによるジュース缶詰のスズ異常溶出現象の反応機構の一端についてモデル溶液を用いて検討し次のことが判明した。
 (1) 硝酸イオンによるスズの溶解は酸素の存在なしには起らない。
 (2) 亜硝酸イオンによるスズの溶解は酸素の存在なしに起り、反応が極めて急激であり、スズの溶解と比例する。

著者
堀尾 嘉友、岩本 喜伴、小村 祥子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,22-29(1967)

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