缶詰原料となる果実、蔬菜中の硝酸塩含量をm-xylenol法で測定し、次のごとき結果が得られた。
1)一般的に硝酸塩含量は果実中には少なく、蔬菜中に多く含まれている。特にほうれん草、ふき、にんじん、大根に多く、葉菜類よりも根菜類に多く含まれていた。
2)パインアップルでは果実と接している冠芽、茎に高濃度の硝酸塩が含まれているが、果実中には少ない。果実中でも果芯に比較的多く含まれている。
3)苺、パッションフルーツ、トマトでは果実と接しているへたまでは高濃度の硝酸塩が検出されたが、果実中には少ない。
4)西瓜、プリンスメロン、スペインメロン等瓜類では表皮の内側で維管束のある外果皮中に最も多く検出されたが中果皮、内果皮になるほど硝酸塩含量は少ない。
5)同一品種でも栽培条件、収穫時期により硝酸塩含有に個体差が認められ、同一個体内においても硝酸塩含量の分布は不均一で、各部位によって大差があった。
- 著者
- 岩本 喜伴、宮崎 正則、国里 進三、前田 琇子、堀尾 嘉友
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,30-34(1967)