22.缶詰野菜に5′-Ribonucleotidesの利用

5′-イノシン酸(5′-IMP)や5′-グアニル酸(5′-GMP)の呈味作用が明らかになって、これからなる調味料が食品添加物として、食品加工の面でも大いに使用されるようになった。

農産食品には元来5′-IMPはほとんど含まれていないが、本報では5′-IMP 、5′-GMPを添加した農産缶詰を試作し、その風味に対する効果を調べると共に、添加したこれらヌクレオチド類の缶詰製造時および製造貯蔵中の安定性を検討した。

5′-ヌクレオチドの分析は5′-ヌクレオチターゼを用うる酵素法、缶詰食品の風味については当短大職員をパネルとする官能試験によった。農産缶詰すなわちグリーンピース、アスパラガス、マッシュルーム、グレーンビーンズにはそれぞれ0.08%、0.025%、0.01%、0.02%のリボタイド(商品名、5′-IMP 、5′-GMP の等量混合物)が添加された。

缶詰を1,3,6ヶ月室温で貯蔵し、開缶して旨味の増強効果を2点選択法あるいは順位法で調べたが、前記の缶詰では5%またはより高度の有意差で旨味が強くなることが認められた。

缶詰に添加した5′-ヌクレオチドは比較的安定で、マッシュルームで70%以上、アスパラガスで62〜70%の残存率が認められた。

著者
橋田 度、毛利 威徳、志賀 岩雄
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,167-176(1967)

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