35.原子吸光分光分析法による食品中の金属の定量に関する研究-Ⅴ
亜鉛の定量について

1.食品中の亜鉛を迅速にしかも正確に定量する目的で原子吸光分光分析法を検討した。

2.原子吸光分光分析法による亜鉛の定量について基礎的な検討を行ない、その測定条件を定めた。

3.共存元素の影響について調べた結果ケイ素、スズ、銅、クローム、マグネシウム及びカリウムが亜鉛の吸光度に影響をおよぼしたが、これらの影響はいずれも測定液中にカルシウム2500ppm 添加することにより抑制できた。

4.共存元素の抑制剤としてカルシウムを添加するとノイズが大きくなり測定誤差を生じるが、測定液中にエチルアルコール20ml添加することによりこのノイズを抑制することができた。

5.添加回収試験を行なったが、ほぼ満足な結果を得た。

6.原子吸光分光分析法による再現精度は同一試料液について6回測定した結果変動係数は4.83%であり、十分満足な再現性度であった。

7.水産生及び缶詰食品中の亜鉛の含有量はカキ(50〜70mg%)及びカニ(16mg%)に非常に多く含まれている以外、他の魚介類はほぼ0.5〜3mg%の含有量であった。

著者
長田 博光
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,272-277(1969)

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