1.子実体の生長期間を通じてpileusの水分含塩は一定であるがstipeでは完熟後は減少した。
2.マンニットは15-20%を示した、トレハローズは3-7%で完熟期に急速に消費された。
3.マッシュルームトレハラーゼはpH4.4、温度35〜45℃に最適を 示した。
4.当酵素のpHに対する安定性は4.4〜6.0であり、温度に対する安定性は45℃、5分の処理では影響はないが、50℃以上では急速に不安定となり、70℃で完全に失活した。
5.化学量論的にはトレハローズは当酵素で加水分解されて、2当量のグルコースを生成した。
以上、貯蔵物質として子実体中に存在するトレハローズは子実体の成熟と共に共存するトレハラーゼにより分解されて胞子形成、その重要な生理作用に必要なエネルギー源として供給されるものと推察される。
- 著者
- 橋本 一哉
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,327-333(1969)