本研究では各種の清酒酵母を麹汁にて培養し、その培養ろ液中、 生菌懸濁液中の核酸系成分と核酸分解酵素を検討し、酒母、醪との関連につき考察を加えた。
1)協会酵母と野生酵母とは酵母RNA分解生成物が異なった。
2)核酸系成分の分泌には酒精、塩化カルシウム、リン酸塩、温度、菌の種類と老若が影響したがとくに酒精において顕著であった。
3)酵母の核酸分解酵素系は清酒麹のものとやや酵素的諸性質を異にし、分泌にはブドウ糖がこれを促進し酒精は阻害することが認められた。
以上の結果より清酒醸造工程中では酵母からも核酸系成分と核酸分解酵素が分泌されることを認めた。
- 著者
- 毛利 威徳、足立 有、柏原 純
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,215-223(1971)