18.貝類缶詰の緑変に関する研究-ⅩⅡ
かきの緑色色素量と一般成分との関係

缶詰かきの緑変はかきの大小にかかわりなく発現する。しかし、小さいかきは外套膜が薄く、内臓部が透視できる。そのために内臓部が緑変していると、大きくて外套膜の厚いかきよりも緑変が目立つ。この外套膜が薄いのは蛋白質やグリコーゲン量が少ないためである。また,緑変に関与している色素は脂溶性であるので、脂肪含量の多いかきほど緑

色色素が体表面に浸出しやすい。 そのために緑変が顕著に現われるのではないかと考える。そこで、これら一般成分と緑色色素量とを調べ、それらの間に相関関係があるか否かを検討したので、以下にその結果を報告する。

生かきの緑色色素量と蛋白質、脂肪ならびにグリコーゲン等の一般成分量との関係を調べた結果、両者の間には明らかな相関関係は認められなかった。

著者
長田 博光
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,114-115(1973)