1)トマト果実のNO3-N 蓄積の品種間差異を換討した。
2)完熟果のNO3-N 濃度は"チコ"では収穫初期にのみ高く、中期、後期には低く、"Heinz1370"、"ブレームスソリッドレッド"は収穫全期間を適して低く、一方"ファイアボール"と"アマチュア"は常に高い値を維持し、明らかに品種間の差異が認められた。
3)果実の成熟中のNO3-N 濃度の変化は"チコ""Heinz1370"、"ブレームスソリッドレッド"は緑白期から完熟期にかけて減少し、"ファイアボール"、"アマチュア"は緑白期から完熟期にかけて減少しないか、または減少しても未熟期の高い蓄積量のため完熟果のNO3-N 濃度は著しく高い値を示した。
4)果実の無機物質濃度はNO3-N 濃度の高い"ファイアボール"、"アマチュア"と低い"チコ"、 "Heinz1370""ブレームスソリッドレッド"の間に有意差は認められなかった。
一方、NO3-N濃度の高い果実は低い果実に比べ、N、P、K含量が高く、Ca含量は低い傾向が認められた。
5)硝酸還元酵素活性は、葉身で高く、次いで葉柄、へたで高く、果実では著しく低く、しかも着色開始と同時にほとんど認められなくなった。各部位の各時期の活性から果実のNO3-N濃度の差異を説明することは出来なかった。
- 著者
- 宮崎 正則、国里 進三、美谷 誠一
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,187-193(1973)