11.市販飲料缶詰における偏性嫌気性細菌によるフラットサワー変敗の確認*1

55℃恒温貯蔵した市販飲料缶詰25サンプル(10,800缶)中,6種類のコーヒー缶詰(40缶)にフラットサワー変敗がみられた.変敗率は0.3-3.6%であった.40缶中15缶から胞子形成偏性嫌気性細菌が分離され,このうち9株は正常コーヒー缶詰中での再現性と胞子の耐熱性から原因菌と考えられた.主な生物性状より,分離菌株はDesulfo-tomaculum nigrificansに類似と思われたが,硫酸塩の還元能は示さなかった.著者らは本変敗を新しいタイプのフラットサワー変敗(O.A. Fiat Sour Spoilage)と呼ぶ.

*1 新しいタイプのフラットサワー変敗(第1報)
    日本水産学会誌,第46巻,1980年.
    日水誌,46,1117〜1123(1980).

著者
中山 昭彦、佐茂 須美子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,14,77-85(1981)