フラットサワー変敗が生じたロットの市販しるこ缶詰を55℃で貯蔵試験した.10日および30日貯蔵でフラットサワー変敗缶がそれぞれ6缶と30缶みられた.変敗率は20%と100%であった.変敗缶の内容物は,正常缶に比較して赤味を帯び,わずかに硫化水素臭および苦味があった.16缶の変敗缶から分離された胞子形成偏性嫌気性細菌は,その主な生物性状から,コーヒー缶詰のO.A.フラットサワー変敗原因菌と同一のものと考えられた.したがって,本変敗原因菌の由来源を考えると,しるこ缶詰およびコーヒー缶詰の唯一の共通原料である砂糖が最も疑わしい.
*1 新しいタイプのフラットサワー変敗(第3報)
食品衛生学雑誌,第22巻,1981年
食衛誌,22,37〜41(1981).
- 著者
- 中山 昭彦、新屋 恵理子
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,14,94-99(1981)