偏性嫌気性(O.A.)フラットサワー変敗原因菌6株の増殖,発芽および発芽後成育に及ぼす2種類の市販乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル)の添加効果を検討した.TSiF培地中では,すべての菌株の増殖はいずれの乳化剤とも100ppmで阻害された.発芽および発芽後成育は乳化剤および菌株により10ppmと100ppmで阻害された.コーヒー培地中では増殖,発芽および発芽後成育に対する最小阻害濃度(MIC)はいずれの乳化剤とも300ppmであった.しるこ培地では埴殖に対するMICは6000ppm,また発芽および発芽後成育に対するそれは5000ppmであった。従って,コーヒー缶詰中では300ppmで,またしるこ缶詰中では5000ppmで,これら乳化剤はO.A.フラットサワー変敗を防止すると考えられ,加温販売される飲料缶へのショ糖脂肪酸エステルの添加は当変敗に対するより確実な対策になることが強く示唆された.
*1 新しいタイプのフラットサワー変敗(第6報)
食衛誌.23(1),25〜32(1982).
- 著者
- 中山 昭彦、園部 順子、新屋 理恵子
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,15,120-127(1983)