水産缶詰の缶内面の黒変防止を目的とし,スケソウダラすり身に種々の物質を添加して加熱処理し,黒変の原因となる硫化水素の生成抑制効果を調べた.
フマール酸モノナトリウム塩は0.5%以上,臭素酸カリウムは0.025%以上,ホルムアルデヒドは0.1%以上,亜硫酸ナトリウムは1%以上,D-グルクロノラクトンは2.5%以上の添加で肉を褐変させることがなく,硫化水素の生成を顕著に抑制した.また,単糖類,アセトアルデヒド,アセトール,みりん,みそ及びフルフラールは硫化水素の生成を抑制するが,褐変を生じたり,特有の臭を発するなどの欠点を有し,実用的でない.
みりん及びみその硫化水素生成抑制効果は,これらに含まれているグルコースによると考えられる.
- 著者
- 長田 博光、竹内 伊公子、朽木 由香子
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,17,11-18(1987)