3.キャベツのプロトプラストからの植物体再生

細胞融合により新しい加工原料野菜を育成する目的で,その前提条件であるプロトプラストからの植物体再生を,キャベツを用いて検討した.

プロトプラストの培養においては,長期間生存し得る健全なプロトプラストが必要で,そのために無菌苗を材料とし,0.2%ペクトリアーゼY23,0.3%セルラーゼオノズカRS,0.5Mマンニトール,pH5.8の酵素液でプロトプラストを単離し,すみやかに精製することが大切であった.

プロトプラストは分裂(コロニー形成),カルス形成,茎葉分化,発根の過程を経て再生されるが,各過程の適正培地は次のようであった.分裂:1/4MS+1%蔗糖+0.5Mマンニトール+1mg/ℓBA+1mg/ℓ2,4-D.カルス形成:1/2MS+1%蔗糖+0.8%寒天+1mg/ℓBA+0.5mg/ℓ2,4-D.茎葉分化:MS+1%蔗糖+1%蔗糖+0.8%寒天+1mg/ℓBA.発根:MS+1%蔗糖+0.8%寒天.

以上の結果,キャベツのプロトプラストから幼植物が再生され,現在結球するまでに生長している.

著者
宮崎 正則、奥 正和、美谷 誠一、佐藤 宏、若狭 勝
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,17,19-30(1987)

刊行一覧