食品の品質を評価する手法の一つとして、NMRによるメタボローム解析手法の有用性を調べるため、様々な市販飲料製品を使用して試験を行った。NMRによって得られた混合成分のシグナルパターンはその試料固有のプロファイルといえる。緑茶飲料や果汁飲料を用いた試験では、銘柄の識別や経時変化の程度を評価できる可能性が示唆された。ワイン飲料の試験では、NMRで使用されるWET 法を用いることで、アルコール由来のシグナルの妨害を抑制でき、製品への光照射試験の評価に利用できることがわかった。このようにNMR装置による測定は非常に簡便で非破壊分析であるため、迅速に成分変化を評価でき、様々な飲料製品の熱履歴や原料検査などの品質管理への応用が期待される。
- 著者
- 隅谷 栄伸、笹井 実佐、大塚 貴子
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書,30,27-30(2014)