B. subtilisは耐熱性の芽胞を形成して容器包装詰食品・飲料の変敗原因となる.一方で自然界に広く分布していることも知られており,食品原料や用水,土壌を汚染している.B. subtilisの芽胞耐熱性は菌株によって異なるため,変敗原因調査においては芽胞を用いた耐熱性試験が必要である.原因調査の迅速化のためにMLST(Multilocus Sequence Typing)を用いた耐熱性のDNAプロファイリングを試みた.
7遺伝子を用いたMLST系では,耐熱性株は系統学的な一群をなし,系統学的な送別と耐熱性に関連性があることを示した.またごく近縁の菌株が繰り返し変敗事故の原因となっていることが見出された.
- 著者
- 遠田 昌人
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書,30,63-67(2014)