イチジク (Ficus carica) のタンパク質分解酵素について,活性の特徴を調べた.国内の代表的な品種である桝井ドーフィンの幼果,枝,葉の抽出液は,何れもゼラチンを分解した.この活性は,システインプロテアーゼ阻害剤E-64 存在下,非存在下のどちらにおいても確認されたことから,桝井ドーフィンの抽出液はシステインプロテアーゼ (フィシン) 以外のゼラチン分解酵素 (コラゲナーゼ) を含むことが示唆された.他品種についても検証したところ,23 品種のイチジク枝抽出液すべてにフィシンおよびコラゲナーゼが含まれることが示された.酸抽出I 型コラーゲン標品を桝井ドーフィンの枝抽出液で分解させたところ,E-64 非存在下ではコラーゲンが完全に分解されたのに対し,E-64 存在下では一部のみが分解された.したがって,抽出液中のフィシンとコラゲナーゼのコラーゲン分解様式は異なると推察された.
This is the peer reviewed version of the following article: Journal of food science, 85(3), 535-544 (2020), which has been published in final form at DOI:10.1111/1750-3841.15028.
- 所属
- 1 公益財団法人 東洋食品研究所 食品資源研究グループ2 京都大学大学院 農学研究科 食品生物科学専攻
- 著者
- 西村 耕作1, 2, 東矢 圭右2, 上島 直生2, 阿部 竜也1, 保川 清2
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 33, 23-33 (2020)