01.液肥の無機元素組成がロックウール栽培イチジクに及ぼす影響

液肥の無機元素組成がロックウールで栽培したイチジクの生育,果実の収量および品質に及ぼす影響を調査した.
'桝井ドーフィン'を約13Lのロックウールを培土として樹脂製鉢に定植し,整枝は結果枝1本仕立てとした.栽培は人工光型植物栽培室で3回繰り返した.2種類の液肥を,窒素濃度を基準として2水準の濃度に調製して与えた.
新梢の生育(長さ,節数,葉色)に及ぼす液肥特性の影響は小さかった.一方,着果率(着果数/全節数)は液肥の種類および濃度の影響を明確に受けた.着果率はリンとホウ素の量が多く,カリウム,マグネシウム,マンガンが少ない液肥の方が高かった.収穫終了後の葉に含まれる無機元素組成を比較したところ,着果率はリン量と正の相関が,鉄量とは負の相関がみられた.以上より,これらの無機元素はロックウール栽培イチジクの収量向上において重要であると考えられた.

著者
高橋 徹,沖浦 文,細見 彰洋
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 1-10 (2022)