我々はこれまでに,イチジク茶のアレルギー抑制効果を見出している.しかし,多くのイチジクの品種には,プソラレンやベルガプテンといったフロクマリンが含まれており,高用量で摂取した場合は,シトクロムP450阻害や光毒性等の健康被害が懸念される.そこで,イチジク茶中フロクマリンの低減方法を検討した.簡易的な方法として低温浸出法を試みた.結果,浸出温度が低いほどフロクマリン溶出量が減少し,0.1℃では,熱水浸出の場合よりフロクマリン総量が36 %減少した.この時の脱顆粒抑制効果は熱水浸出と同等だった.以上の結果から,イチジク茶は低温浸出によってフロクマリンの溶出量が抑制され,安全性が向上すると考えられた.
- 著者
- 小山 ゆかり,阿部 竜也
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 34, 51-56 (2022)