1990 年代に発生した食品変敗事例において分離されたWeizmannia coagulansの7 菌株についてRAPD (RandomAmplified Polymorphic DNA) 解析および次世代シーケンサーを用いたゲノムスケール塩基配列解析による系統解析を試みた.
RAPD では7 菌株は4つのグループに,全ゲノムスケール配列解析に基づく遺伝子領域の欠失プロファイルによる層別では3グループに層別することができた.これらの層別は芽胞耐熱性に直接関連するものではなかったが,類似した系統の中に比較的耐熱性の低い系統と極めて耐熱性の高い系統とが混在していたことが明らかになった.
食品変敗における原因菌の耐熱性評価に際してはこれらの手法による系統解析が一助となるだろうことが示された.
- 著者
- 遠田 昌人
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 34, 97-101 (2022)