発酵による機能性成分生産および実用化に関する研究

富有柿幼果の黒麹菌発酵物を実用化するために必要な項目として、優良発酵菌の選抜(発酵の改善)、発酵物の成分解析、発酵物の熱処理にともなう機能性への影響(殺菌・品質保持)を検討した。

新たな発酵菌候補として機能性増強が見られた白麹菌、乳酸菌3種を選抜した。成分分析では、幼果の発酵において、糖はスクロースおよびグルコースが先に消失し、フルクトースが残存することなど、発酵中の糖の挙動を明らかにした。

熱処理に関する検討では100℃以上のオートクレーブ処理だけではなく、80℃の湯浴条件でも菌が死滅したため、熱処理は殺菌処理にも有効であることが示唆された。さらに殺菌だけではなく、発酵物に対して湯浴、オートクレーブ処理、オーブン処理を行ったところ、β-リパーゼ阻害活性をはじめとした機能性は維持され、条件によっては増強されることがわかった。このことは富有柿幼果の黒麹菌発酵物は熱を用いた加工処理が適用でき、多様な食品利用への可能性を示唆した。

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