一般的な小豆缶詰製造法は、十数時間の糖液浸漬処理を必要とするなど、かなりの長時間の処理を必要とすることが、難点と見られる。そのような煮熟処理を省略して缶詰を作る変法を試験的に実施し、その成績も普通の市販品に比較して劣ることがないと考えたので報告する。便宜上、本法を直詰法と呼称する。
1.直詰法を採用することによって茄小豆缶詰の製法がかなり単純化される。
2.ブドウ糖を庶糖に20%混用した製品の豆の色は生小豆の色よりも更に濃い色を呈するが蔗糖単用の製品の豆の色はかなりあせて淡色である。
3.分離した液汁を濾紙で濾過して得た濾液はブドウ糖混用品において黄褐色を呈するが蔗糖単用品では殆んど着色が認められなかった。
4.分離した液汁のpH価はブドウ糖混用品において常に低い。
5.風味はブドウ糖混用品において黒砂糖様風味を感じる。
- 著者
- 志賀 岩雄、木村 圭一
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,9-12(1959)