14.5′-ヌクレオチド類による缶詰食品の風味改良-Ⅵ
5′-ヌクレオチド類を添加した水産缶詰の試作実験(その1)
あさり、ずわいがに

あさり水煮缶詰の肉詰工程において、0.02%、0.04%、0.08%の割合になるようにリボタイドを添加した缶詰を室温で保存し、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後に食味試験を行って無添加対照缶と比較するとともに、残存リボタイド量を5′-ヌクレオチターゼ法により測定した。調味液に添加されたリボタイドの貝肉(固形物)への浸透は徐々に進行することが認められ、従って0.02%、0.04%という低濃度の場合は6カ月後に対照缶に較べて美味になったと判定された。0.08%を添加したものは、製造12日後でも明らかに美味と感じられた。

同様にしてずわいがに缶詰の場合は、リボタイド0.08%+MSG0.1%を添加したものが1カ月後〜6カ月後にわたって高度の有意差で美味になったと判定された。リボタイドを0.04%添加したものも無添加対照よりは美味と感じられたが、順位法の結果、前2者よりは劣っていた。

缶詰に添加したリボタイドはかなり安定であり、あさりではやや劣るが、ずわいがにでは残存率は79〜82%であった。

著者
毛利 威徳、青山 延子、寺田 潤子、橋田 度
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,96-107(1965)