ナリンギナーゼ剤を使用して夏ミカンの脱苦味試験を行い次の事実を認めた。
1)夏ミカンシラップ漬け缶詰の脱苦味法としては、耐酸、耐熱性の酵素剤を使用して、一段殺菌法により行うことが最も簡便でしかも効果が大きい。
2)一段殺菌法による脱苦味は製品を30℃に貯蔵すれば約2週間で、室温貯蔵の場合でも2〜3カ月でナリンギン量は1/3以下に減少し十分な効果が得られる。
3)夏ミカンシラップ漬けの場合酵素処理により、やはりかなりの量のプルニンの蓄積が認められ分離定量の必要なことが明らかになった。
4)夏ミカン果汁の場合耐酸性の酵素剤を使用すると短時間で十分効果がある。
5)マーマレード材料は中性の酵素剤でも十分有効である。
- 著者
- 下田 吉夫、奥 正和、澤山 善二郎、松本 熊市
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,117-125(1965)