18.ストラバイトの防止について-Ⅰ
In-Vitroに於ける薬剤の防止効果

水産缶詰内に析出するストラバイトに関して、EDTA、クエン酸のほかに他のキレート化剤をも用いてIn-Vitroに於けるストラバトの防止実験を行なったので、その結果を報告する。

ストラバイト析出の防止にはクエン酸、EDTAの他にフイチン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ATPが有効であると考える。

またこれら薬剤の他にポリペプトンも有効であった。このポリペプトンの防止効果は液汁の粘度を増加させたことによるものと考える。このことより何らかの方法で液汁の粘度を増すことによりストラバイトの析出を防止出来ると考える。

一方リボタイドは20℃以下に保存した場合は有効であったが、37℃に保存した場合は効果がなかった。このことは37℃に貯蔵した場合、細菌が繁殖し、その細菌の産生するホスファターゼにより、リボタイドが分解され、リンが遊離したことに原因するものと考える。またATPが防止効果をもっているのに反し、乳酸はかえってストルバイトの析出を促進する傾向があった。このことよりストラバイトの析出は鮮度にも関係があると考える。即ち鮮度の悪い乳酸量の多いものほどストラバイトは析出しやすくなると考える。

著者
長田 博光、竹内 章子、岡屋 忠治
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,135-143(1965)