アサリ肉中に存在する鉄、錫等の金属をEDTA、或いはリン酸塩の樣なキレート化剤を用いて硫化水素と反応しない型に置き換えることによって黒変の防止を試みたので、その結果を以下に報告する。
アサリ水煮缶詰中の鉄、錫量は室温、37℃のいずれに貯蔵してもあまり変りなく、また経時変化もみられなかった。それぞれの量は鉄、70〜110ppm、錫、0.5〜4ppmであり、かなり個体差がみうけられた。
薬剤の異変防止効果は、いずれの場合も0.1%添加のものはそれ程効果はなかったが、0.5%添加のものは効果があった。
以上の結果よりアサリ水煮缶詰の異変の防止にはEDTA、フィチン酸,カルゴン、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラポリホスのようなキレート化剤を約0.5%添加すると有効である。
- 著者
- 長田 博光、岩本 喜伴、岡屋 忠治
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,151-154(1965)