5′-グアニル酸(5′-GMP)5′-アデニル酸(5'-AMP)など5′-ヌクレオチド類は食品の重要な呈味成分であり、5′-GMPはきのこ類、5′-AMPは蔬菜類、きのこ類にかなり含まれている。本報はシイタケ、マッシュルーム、アスパラガスなど数種の蔬菜類、きのこ類の加熱工程でのヌクレオチド組成の変化とその原因について検討した。核酸の分解に関連するRNase、PDase、PMaseの諸活性は須原氏らの方法によって測定した。
煮出し、すなわち原料を水の中で穏和な条件で加熱しながら抽出すると、原料のリボ核酸あるいはアデノシン-3-燐酸(ATP)の減少に伴って5′-ヌクレオチドの増加が認められた。これが生の蔬菜類に含まれている核酸分解酵素系の作用に由来するのではないかとの観点から、シイタケなどの酵素系RNase、PDase、PMaseなどをDEAE-セルロースカラムで分離し、その性質をしらべた。その結果シイタケでは、そのRNaseによってリボ核酸が分解されて、シイタケの旨味といわれる5′-GMPなど4種の5′-ヌクレオチドを生成すること、マッシュルームやアスパラガスでは、それらのPMase画分によってATPが分解されて、5′-AMPを生成することが認められた。
- 著者
- 橋田 度、毛利 威徳、志賀 岩雄
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,281-292(1967)