35.水産物の有機酸に関する研究-Ⅲ
海藻の有機酸組成並びに乾燥中における有機酸含量の変化について

海藻の有機酸組成ならびに乾燥中におけるそれらの含量の変化について研究を行なった結果、次のごとくであった。

1.モヅク、ワカメ、ホソメコンブの3種の有機酸組成は殆んど同一であった。すなわち、3種の有機酸組成はプロピオン酸、酢酸、ピルビン酸、フマール酸、α-ケトグルタール酸、コハク酸、乳酸、ピログルタミン酸、シュー酸、リンゴ酸、クエン酸であった。

2.有機酸含量はモヅク、ワカメにはフマール酸、酢酸がやや多く含まれていた。また、ホソメコンブには酢酸、乳酸が多く含まれていた以外はあまり目立って多い酸は見当たらなかった。

3.全有機酸量を比較するとホソメコンブは他の2種に比べて著しく多くモヅクの約8倍、ワカメの約4倍量を含んでいた。

4.乾燥した場合、ワカメではクエン酸が生9.7mg%に対して44.5mg%と著しく増加していた。ホソメコンブではすべての酸が減少していた。

著者
長田 博光
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,297-301(1967)

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