1.生物による缶詰工場廃水処理に関する研究-Ⅰ
ミカン缶詰工場の廃水処理

近年工場廃水問題が大きく取上げられるようになり缶詰産業においても廃水処問題の解決が急がれている.凝集沈殿法等の物理化学的な方法ではBOD,CODの除去率が40〜60%と低くどうしても生物処理にたよらなくてはならないと思われる.しかしミカン缶詰は一般の工場と異なり季節産業であるために活性汚泥法のような微生物処理は汚泥の馴養等の点で困難とされるが,馴養に留意して行えば90%以上のBOD除去率を上げ得る利点があると考えられる.

ミカン缶詰廃水の微生物による処理試験の結果,温度25℃においてkd19〜28×10-7,pH5〜7および汚泥濃度5〜6%の条件で良好な処理成績をあげられた.また曝気槽においてBOD負荷量は最高3〜3.5kg/m3/日で充分連続処理が可能である.汚泥をそのまま-20℃,-5℃冷凍した場合,浮遊物が生じ汚澱が不可能になった.またBOD除去率は,冷凍以前より悪い結果を得た.

著者
毛利 威徳、川崎 陽子、平井 厚子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,11,1-7(1974)