3.みかん缶詰への組織崩壊酵素の応用
みかんの剥皮とその廃水の性状

従来,みかん内皮の剥皮には酸およびアルカリ併用による従来法がすぐれた方法として広く採用されていた.しかしこの併用法は塩酸や水酸化ナトリウムを使用するため,設備の腐食,破損などの原因となり,また処理の条件によっては缶詰製品の風味が損なわれるなど,欠点もある.しかも最近では水質汚染が大きな問題となって濃厚なBODを排出するこの方法に代わる新しい剥皮方法が望まれるにいたった.

著者らは,酵素標品と剥皮操作の2点から検索をおこなって,アルカリと植物組織崩壊酵素を併用することによって比較的短時間に剥皮操作が完了し,かつ満足すべき製品がえられることを見出し,またこの方法によると,可溶性有機物濃度が比較的低く,かつ薬剤凝集処理が効果的である廃水がえられることを認めたので報告する.

著者
富永 哲彦、奥 正和、宮廻 和代、加藤 育代、下田 吉夫、大塚 滋
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,11,14-22(1974)