前報で,栽培中にジベレリンと農薬を散布することにより,加工用イチゴ品種'アメリカ'のへた離れ性が促進され,片手収穫により80%のへたなし果率が得られたが,残りの果実にはへたがついていたことを報告した.そこで本報では,へたが離れない原因を明らかにする目的で,へた離れ部位を観察した.
へたが容易に離れる果実では,ずい部とへた直下部との間で,組織および化学成分の顕著な差異が認められた.
片手収穫によりへたが離れなかった果実には,がく片のみのついた果実,へたと小果嫌のついた果実,およびへたつき奇形果の3種類が認められた.第1の種類は,へたと果実の間に発生した空彦により生じると思われた.第2の種類は小果嫌の付着力がへた離れ力よりも小さかった.奇形巣では,上記の組織および化学成分の差異が充分に生じていなかった.
- 著者
- 宮崎 正則、美谷 誠一、佐藤 宏、木多 武雄、若狭 勝、奥 正和
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,15,33-41(1983)