6.温州ミカン果汁中のヘスペリジンの挙動に関する研究 -Ⅱ果汁中のヘスペリジンの溶解及び結晶化におよぼす諸因子について

温州ミカンの濃縮果汁を還元した果汁中には数mg%しか溶解へスペリジンはないが,その果汁を加熱すると加熱直後の果汁中には多量のヘスペリジンが溶解し,貯蔵中に急速に減少する.

この原因究明のため果汁中のヘスペリジンの溶解と結晶化に関与すると考えられる諸因子について検討した.

ヘスペリジンの溶解には加熱温度の影響が顕著であることが明らかになった.また,果汁中のヘスペリジン含量が少ない時は90℃程度の加熱で全てのヘスペリジンが溶解するが,ヘスペリジン含量が多くなるに従って全てのヘスペリジンを溶解するには加熱温度を高くする必要があることが分った.

ヘスペリジンの結晶化にはパルプ含量の影響が著しく,パルプ含量が多くなるほど急速に溶解へスペリジンは結晶化することが分った.

著者
森 大蔵、岩本 嘉伴
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,16,45-50(1985)

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