前報で著者らはシュガーエステルがB.subtilisやB.licheniformis以外の芽胞に対して抗菌作用を示すことを報告した.しかし,シュガーエステルを缶詰等に添加した場合,抗菌作用に対して食品成分(デンプン,蛋白質,脂肪など)の共存またはpH,温度などの作用環境条件などに影響されると考えられるので,その影響について検討した.
デンプン,特にコーンスターチはシュガーエステルの抗菌作用に対して阻害的に働き,その濃度の増加とともに抗菌作用は減少する.スキムミルクも阻害作用を示すが,コーンスターチの1/6程度である.
pHの影響は,それ程強いものでないが、培養温度によって強く影響する場合もある.
- 著者
- 池上 義昭、大田 智子
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,16,101-105(1985)