本来乳化剤として使用されているシュガーエステルが微生物に対して抗菌作用を示すことが認められ,特にホットベンダーで売られているコーヒー缶詰の変敗原因であるC.thermoaceticumに対して抗菌作用を示す.そこで,缶詰の変敗原因菌であるBacillus属,Clostridium属の細菌13株についてシュガーエステル(P1670)の抗菌性を検討した.
B.subtilisとB.licheniformis以外の細菌に対しては抗菌作用を示した.特にC.pasteurianum,C.thermosaccharolyticum,B.stearothermophilusに対しては強い抗菌作用を示した.抗菌作用を示す最少濃度は約10ppmである.
シュガーエステルは胞子に直接作用するのではなく,栄養細胞に作用し,増殖を阻止するよりもむしろ殺菌作用を示す.従って,胞子に対する作用も発芽後に作用するものと思われる。
- 著者
- 池上 義昭、大田 智子
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,16,93-100(1985)