日本では一般に,シイタケ,エノキタケ,ブナシメジなど,ひだ(菌褶)の白いものが主に生産・流通し,マッシュルームやナメコなど成熟した菌褶が着色するものは幼菌のみが生産されている．成熟したマッシュルームは海外では優良食材であることから,その普及のため,淡色褶色を有する新品種の育種を試みた．

マッシュルーム菌糸由来のプロトプラスト(PP)を材料として,UV(主波長253.7 nm)照射による突然変異誘発を検討した結果,条件は再生用培地に塗沫したPPに対して550μW/cm²-30 秒間の照射が適切であった．

UV照射株1185株を得て,栽培により1133株を評価し,140株が子実体を形成した．140株の内15株は,幅が狭くなるなど菌褶に形成不全が見られ,色調も淡色化する傾向が現れた．しかしながら,その6株の菌糸を継代し,形質の再現性を見たところ,半数が親株と同様の形質に復帰しており,残りは菌褶形成不全の形質を保持していたが,部分的な復帰も観察された．