当研究所で育成された加工用イチゴ品種'ベニヒバリ'は高いヘタ離れ性を持つ.このヘタ離れ機構の解明を目的として,プロテオーム解析によって関与タンパク質を探索した.
ヘタ離れ促進作用が期待されるタンパク質(促進タンパク候補)が111個,ヘタ離れ抑制作用が期待されるタンパク質(抑制タンパク候補)が141個見出された.これらの機能を推定したところ,植物ホルモンや細胞壁生合成・修飾に関連するものがあった.植物ホルモン関連タンパク質,細胞壁生合成・修飾関連タンパク質に着目し,共発現している遺伝子を解析したところ,エチレン関連やセルロース生合成関連の遺伝子が促進タンパク質候補と同様の発現挙動を示した.一方,抑制タンパク質候補と同様の発現挙動を示したのはリグニンやペクチン生合成関連遺伝子であった.
以上より,イチゴヘタ離れへのエチレンの関与が強く支持されるとともに,細胞壁特性の違いがヘタ離れ性に影響することが示唆された.
<全文(PDFファイル)の正誤表>
・52ページ 左段49行目 (誤)推定した1) → (正)推定した2)
- 著者
- 阿部 竜也、高橋 徹
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書,29,51-58(2013)