本研究では,食物の風味品質を評価するための信頼できる方法の開発を目指している.風味品質指標成分の探索には,TMS誘導体化を使ったGC-MS分析と,主成分分析による多変量解析を用いた.
市販PET ボトル詰め緑茶飲料をモデルとして,2銘柄のPETボトル詰サンプルをそれぞれ55℃に3週間保存した.冷蔵品と保存品の各サンプルの抽出物は,メトオキシム化とMSTFAによる誘導体化を行った.主成分分析のスコアプロットの平面図において,冷蔵品と保存品を比較したところ,それぞれのグループに分類された.主成分分析は各緑茶試料の劣化を反映する明瞭な分類ができ,その指標成分を示した.
本方法は,食品の品質指標成分を探索するのに,有用であることが示唆された.
- 著者
- 隅谷 栄伸、大塚 貴子
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書,29,59-63(2013)