本研究ではA. acidoterrestris 芽胞に対する植物精油成分の抗菌特性を調べた。植物精油成分のうち,カルバクロール,trans-シンナムアルデヒドおよびチモールの最小発育阻止濃度(MIC)はpH4.0では250ppm,pH3.2では125ppm であった。これら三種類の植物精油成分のうち,二種類を併用したところ,いずれの組合せでも相加効果を示し,発育阻止に必要な濃度が各々のMICの1/32〜1/2倍に低下した。また,trans-シンナムアルデヒドおよびチモールは1000〜2000ppmで添加すると芽胞の発芽が抑制された一方で,MICでは発芽に至った。このことから,植物精油成分は高濃度では発芽阻害,MIC付近では発芽後生育または栄養増殖を阻害すると推察された。
- 著者
- 小林 哲也、青山 好男
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書,29,73-78(2013)