日本において、若い国民の多くが朝食を欠食することは社会問題である.朝食摂取は生活のリズムを刻むため重要である.
出来立てのパンの香りは食欲を増進させるが、その香りが手軽に発生すれば、朝食欠食者に朝食を食べさせる原動力になる.
パンの短時間焼成には,加熱エネルギーとしてマイクロ波が有効である.電子レンジ発熱シートでパン型を作製し,型に発酵した生地を充填し,蓋をして,冷凍したものを,喫食時に電子レンジ加熱する方法とした.生地を焼成するための温度上昇の条件は,内部はゆっくり、表面は急速である.短時間(4分間)のマイクロ波加熱で,香り高いパンが提供できた.再加熱パンと短時間焼成パンの香気成分を比較すると,5成分(アセトアルデヒド,2-ヘプタノン,2-ノナノン,ノナナール,エチルエステルオクタノイックアシド)が,パンの出来立て感を醸し出す特徴香と考えられた.官能試験の結果,短時間焼成パンは再加熱パンよりも,出来立て感に優れると評価された.
- 著者
- 高橋 英史、稲田 有美子
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書,30,79-85(2014)