常温保存可能な容器詰食品において,畜肉のテクスチャーは商品価値に大きな影響を及ぼす.筋線維を束ねている膜等を構成する結合組織中のコラーゲンは湿熱加熱により加水分解してゼラチン化し,筋線維がほぐれやすくなる.コラーゲンはゼラチン化により水溶性となるため,コラーゲンに特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリンを定量することでゼラチン化率を求めることができる.モンゴウイカおよびエビについて加熱とゼラチン化率の報告はあるが,畜肉に関しての定量的な報告は見あたらないため,加熱量の異なる容器詰豚肉のゼラチン化率を測定し,加熱量とゼラチン化率およびほぐれやすさとの関係を明らかにした.加熱量の増加にともなってゼラチン化率は高くなり,ゼラチン化率が高くなるにつれほぐれやすくなることを豚肉において定量的に示すことができた.
- 著者
- 稲田 有美子
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 33, 71-73 (2020)