10. 加熱殺菌における雰囲気温度パターン異常の検出方法

容器詰食品の製造工程において,雰囲気温度の異常を定量的な指標に基づいて検出できれば,製造管理,メンテナンス時期の決定等に有用と考えられることから,本研究では雰囲気温度パターンの異常検出方法について検討した.
容器詰食品の加熱殺菌の工程において雰囲気温度の基準パターンから二乗和平方根の平均値を平均温度差として,温度変動の異なる3パターンについて計算して比較した.その結果,最も変動の大きなパターンの場合には,平均温度差は基準パターンの20倍となり、十分な差異が認められたことから温度異常の検出が可能と考えられた。
昇温途中に大きな温度変動が起こった場合にも平均温度差は大きくなったが,殺菌工程での平均温度差への影響は生じないと予想された.異常の影響の評価方法として全体の平均温度差が異常な場合に,各工程の平均温度差を評価して判断するという段階的な方法が現実的であると考えられる.

著者
稲葉 正一
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 33, 75-78 (2020)