100℃以上における食品への調味成分の浸透量を測定するため,食品を調味液に保持した状態で高温に保持する装置を製作した.製作した装置は,耐圧性のあるステンレスタンクをアルミブロックで覆い,カートリッジヒータを用いて加熱するものである.タンク内部の液温は温度計を挿入して測定し,さらにガス負荷口と圧力計を設置することにより,タンク内圧を0.40 MPa以下に調節が可能である.本装置を用いて,コンニャクに対する塩化ナトリウムの分配係数を100℃で測定したところ,約0.55 mL/gであり,100℃に維持した水浴を用いて測定された値ともよく一致した.浸漬前の重量基準で算出した分配係数は高温ほど低下した.一方で,浸漬後の重量基準で算出した分配係数は30℃,100℃,120℃でほぼ同じだった.また,30℃,100℃,120℃における分配係数の圧力依存性を測定したところ,0.40 MPa以下ではほとんど同じとみなせた.
- 著者
- 謝 裕基
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 33, 85-88 (2020)