イチジク(Ficus carica L.)の果実生産過程で廃棄される葉を,茶の原料として効率的に採取する目的で調査を実施した.露地で慣行栽培された成木を調査した結果,イチジク'桝井ドーフィン'栽培での一般的な葉の除去作業のうち,摘芯,副梢切除,摘葉は芽かきに比べて1 回当たりの除去葉量が多かった.中でも摘葉は,決まった枚数の葉を一律に除くため,葉量の変動が少なく,安定した原料調達の点で有利と考えられた.しかし,摘葉の意義については果実生産上も不明な点が多いため,'桝井ドーフィン'の苗木を使って樹体や果実生産に及ぼす影響を調査した.その結果,摘葉はその主な目的のとおり,果実着色を促す一方で,果肉の糖度を若干減じる可能性が検出された.摘葉の功罪については,実栽培規模での更なる調査が求められた.
- 著者
- 星子 英次郎,細見 彰洋*,高橋 徹 * 責任著者
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 34, 23-28 (2022)