04.イチジク茶摂取が季節性アレルギーに及ぼす影響―二重盲検無作為化比較予備試験―

イチジク(Ficus carica L.)葉を加工したイチジク茶のⅠ型アレルギー抑制効果を見出している.その抑制機序は,炎症細胞に結合したIgE抗体の解離と推測され,新たな抗アレルギー性食品への応用が期待される.そこで,本試験は,大規模ヒト介入試験に向けた予備試験として,小規模でのイチジク茶効果の検証を実施した.
スギ花粉症の参加者をイチジク茶と緑茶摂取群に分け(1群5名),8週間摂取してもらった.結果,両群ともIgE抗体力価や自覚症状は,花粉飛散量に比例して増悪した.一方,鼻腔症状検査は試験期間中で改善傾向を示した.イチジク茶群で,Th2細胞数の有意な減少が確認された.鼻腔症状におけるイチジク茶の改善傾向は,Th2細胞数の制御が関与すると推察された.今後,イチジク茶の花粉症改善効果を検証するには,生理活性を持たない水などをプラセボに設定し,鼻腔症状検査を主要評価項目とすることで評価できると考えられた.

著者
阿部 竜也,小山 ゆかり,西村 耕作
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 29-38 (2022)