食品,医薬品や化粧品の分野において機能性を有するフラボノイド配糖体の報告は多い.一方で毒性を有する配糖体も多く存在しており,その構造決定は重要な課題の一つである.構造決定法としてNMRが挙げられるが,高濃度かつ高純度試料が求められること,それに伴い分取分離作業に多大な時間を要するなど,困難な点も多い.昨今,LC-MSは比較的普及の進んでいる分析装置である.本論文ではLC-MS装置を用いたフラボノイドO-配糖体構造推定のためのプロトコル作成を試みた.配糖体を酸加水分解によりアグリコンと糖に分解し,それぞれを分析する.糖の分析には,低極性低分子の分析に適したAPCIイオン源を用いる.配糖体標品で条件検討を行い,プロトコルを構築した.実試料のタマネギ外皮抽出液中に含まれる成分についてプロトコルを検証し,有用性を確認できた.
- 著者
- 隅谷 栄伸,大木 伽耶子,笹井 実佐
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 34, 69-78 (2022)