ゲノムスケール配列解析に基づく変敗原因菌の系統学的解析

容器包装詰食品・飲料の変敗品から分離した保存菌株について、再同定を行って分類学上の帰属を確認するとともに、ゲノムスケールの配列解析により基準株との相違点を明らかにし、検査に利用可能な配列情報を提供することを目的としている。今年度は低酸性食品の典型的な耐熱性変敗原因菌Bacillus coagulans 27菌株について16SrDNA遺伝子の塩基配列解析に基づく再同定およびゲノムスケールでの塩基配列解析を行った。再同定の結果、一部の菌株はB. smithiiおよびB. thermoruberと同定された。これらの耐熱性は高く、容器包装詰食品での主要な制御対象菌とはみなされていないものの、今後、対象菌としていく必要があるものと考えられた。ゲノムスケールでの塩基配列解析の結果、菌株間で明確な差は見られず、変敗原因菌としてのB. coagulansは菌株間での大域的な差異に乏しいものと推測され、特定の遺伝子の有無に基づく耐熱性の予測は難しいものと考えられた。

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