3.かん詰の内面腐食に関する研究-Ⅱ
オレンジジュースかん詰の内面腐食に及ぼす硝酸イオンの影響とpHとの関係

オレンジジュース缶詰の異常溶出事故について、ジュース缶詰製造時に調合用水として使用する水質中の硝酸性窒素量に基準の設定の必要があると認めたので報告する。

1.プレイン缶を用いるジュース缶の錫の異常溶出原因を究明するためモデル缶詰を製造し検討したところ、その主要原因は硝酸イオンであることを確認した。

2.果汁率25%のオレンジジュース缶詰めを製造し、硝酸イオン共存時に溶出錫量とpHとの関係を検討したところ、長期保存ではpHによる溶出錫量の相違は著しくなく、硝酸性窒素量と溶出錫量との間には明らかな創刊が認められた。鉛の溶出量は果汁の存在により抑制されるが、その溶出量は硝酸イオン量の増加と共に多くなる。

3.ジュース缶詰の製造時に使用する調合用水の硝酸性窒素量は溶出錫量および溶出鉛量の点から1ppm以下であることが望ましい。

著者
堀尾 嘉友、岩本 喜伴、小田 久三
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,19-27(1965)